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コネクテッドビルの技術で施設のパフォーマンスを 最大化(第2回)

ビルオーナーと設備管理担当者は堅牢な“コネクテッドビル“で、かつてないほどの豊富な情報と施設管理のための多くの選択肢を享受しながら、パフォーマンス向上を実現できます。

コネクテッドビルの技術トレンド

その前提となるのが以下の4つの技術トレンドです。前号では技術トレンド1、2について触れました。今回は、技術トレンド3、4について解説します。 

コネクテッドビルを可能にする4つの技術トレンド-シームレスな設備管理を実現 
1.ビルのパフォーマンス向上を推進するビジュアル化ツール 
2.担当者の施設運用管理業務を強力に支援するマシンツーマシン(M2M)通信技術 
3.設備管理担当者と施設を常時に接続可能させるモビリティツール 

4.施設データを有効情報に変える解析技術


3.設備管理担当者の常時接続を可能にするモビリティツール


モバイルツールによって、ビルオーナーや設備管理担当者はそれぞれの働き方に合わせたコネクテッドビルのを運用管理をが行えるようになりました。そして、これまでの「人の方が技術に合わせる時代」が大きく変わろうとしています。今日ではビル管理ツールが多様化し、施設運用のためにより多くの情報が利用できるようになり、オフィスや施設を離れていても設備管理担当者がこうした建物のデータにアクセスできるようになるのは当たり前になりました。 
米州地域におけるスマートビルの実現をけん引するエンジニアリングコンサルティング会社、Arup社のアソシエートプリンシパル、デビッド・ウィルツ(David Wilts)氏は、「適切なタイミングで然るべき担当者がアラーム通知を受け取ることができる。これがモバイルツールの何より大きな価値です」と述べています。
事実、Building Efficiency Panel による2013年度のITモビリティ調査でも、43%の回答者がすでにBASやBMSといったシステムにモバイルツールを活用していると答えています。さらに全体の3分の1の回答者が、こうしたツールが、今後非常に重要になると答えています。 
多くの施設では依然として設備機器のチェックを手作業で行って記録し、このデータをもとに運用管理しているため、設備管理担当者がビルシステムやデータにアクセスするためには中央監視装置のある場所に戻らざるを得ない状況です。しかし、モバイル革命がそうしたビル管理の在り方を変え、施設管理部門の業務を変革しようとしています。 
 「モバイルの重要性はますます高まっています。技術者がタブレットを抱えどこへでも出かけて行って、問題点を見つけてその原因の調査を行うことができれば、どれほど仕事が容易になるでしょうか」

(オクラホマ州キャピタルアセット管理部 次席管理責任者 クレイグ・チェリー氏)



4.施設データを有効情報に変える解析


ビルは膨大な量のデータを生み出します。しかし、設備管理担当者の多くはそうしたデータの洪水を実際の運用業務に役立つ情報に変える手段を持っていません。こうした問題を解消するのがアナリティクス(解析)ソフトウェアです。

高度な解析アルゴリズムによってデータを読み取って選別し、大量のデータに埋もれているパターンやトレンドを見出して問題点を抽出します。クレジットカード会社なら、解析ツールでカードを使用した異常な購買行動を識別させます。そうした行動が特定された場合にはクレジットカードの所有者に連絡を取り、間違いなく本人が使用したものであるかどうかを確かめることができます。 

ビルシステムにおいて、アナリティクスはオペレーション管理や省エネ目標の達成に威力を発揮します。例えば、ベンチマークを設定してデータ解析を行うことで、設備管理担当者は施設パフォーマンスを他のビルや過去のパフォーマンス履歴と比較することができます。不具合検知(FDD)があれば、システムや一部の機器が正常に機能していないことを把握し、素早く対応策を取って問題を解消することができます。 

アナリティクスを活用すれば、担当者が実際に検査を行うことなく、施設関連データから問題が生じている機器を特定することができるため、担当者の時間や労力を低減することができます。また、パフォーマンス上のごく小さな異常が設備機器の重大な故障につながる原因を示している可能性もあり、その原因を未然に解消します。さらに、多忙な業務に追われる管理部門において、最大の省エネ効果が得られる、あるいは膨大なコスト負担のリスクを避けるためのより効率的な作業への取り組み方を判断するためにも、アナリティクスは有効です。言い換えれば、アナリティクスによって意思決定プロセスやリソースの配分、ビルの運営の手法を一変させようとしているのです。

これらのトレンドはすでに何年にもわたって、社会にさまざまな影響を及ぼしています。ビルシステム業界でもこうした新技術への対応が進んで容易に使用できるようになり、コネクテッドビルの中核技術を変革しようとしています。ユーザーへのツールの提供方法が変化すると同時に、コネクテッドビルは業界特有の設備やシステムをベースに構築され、今日の設備管理担当者が直面する課題に対応できるよう進化を遂げているのです。中でもとりわけ顕著な進化を遂げているのが新世代BAS、スマート機器、クラウドベース技術の3つの分野です。 

次回はこれらのビルシステム業界の技術分野を取り上げます。